傲慢と善良(辻村深月)を読んで

 
累計発行部数が、最近100万部を突破して話題となっている「傲慢と善良」をオーディブルで読んだので、そのことについて書いていく。
 
小説の内容は、結婚目前で突然姿を消した婚約者「まなみ」の行方を追う主人公「かける」の物語。「かける」は「まなみ」の失踪理由を探る中で、彼女が抱えていた秘密や結婚観、幸せに対する葛藤を知ると同時に、自分自身の価値観や人間関係を見つめ直していく。「結婚」「家族」「幸せ」の意味を問いかける、現代社会のリアルが描かれた作品。
 
共感する人が多い作品のようだったが、個人的には多くの人がそんな風に感じてるのか。と学びの多い小説だった。
 
印象に残ったのは以下の場面。
 

婚活成功の秘訣は、人生大満足の秘訣?

 
物語は、婚活結婚相談所のベテラン縁結び士的な女性が出てきて、婚活がうまくいく人とうまく行かない人の違いについて言及する場面がある。
その女性いはく
  • 自分が結婚に何を望んでいるか明確にわかっているか
  • 結婚してどんな生活がしたいかというビジョンがあるか
とのこと。
 
これを読んで、何も婚活の成功だけでなく、自分の人生を豊かで幸せなものにしていくにあたりどのような選択をするときにも、これがハッキリしてるかどうかはとても重要だなと感じた。
 
小説の中では、主人公「かける」が婚活を就活と対比させる場面があったが、就活においても内定(結婚)がゴールでなく、こんな仕事をしたい、こんなビジネスパーソンになりたい、こういう働き方がしたい、自分の望んでいるものやビジョンが明確であればあるほど、満足いくものになりやすいだろう。
 
それ以外にも、転職だとか、起業だとか、はたまたマイホームを持つ持たないとか、そういう人生に比較的大きな影響を与えるあらゆる場面で
  • 自分が本当に望んでいるもの
  • 未来のビジョン
があるか問われると思う。
 
実際、婚活相談のようなものにも乗ったことがあるが、この小説に登場するような婚活がうまくいく要素を持ち合わせていなく悩んでいる人が何人もいた。
 
 

「傲慢」と「自信」の違いについて

 
小説の中では、現代の世の中では「傲慢さ」と「善良さ」矛盾なくひとりの人物の中で同居しうるということについて言及されている。
 
ふと、自分も「傲慢さ」を持っているのではないかと顧みた。
同時に、「傲慢」と「自信」はいったい何が違うのだ?というのも気になった。
 
 
ぱっと思いついたのは、「傲慢」というのは、自分を相対的に相手より高いところにおいて、相手を上から下に見て行われる言動。
一方、「自信」とは、特定の物事に対してそれをなし得ることができると強く信じられている状態をいうのではないかと。
 
それでも、何か十分でないなーと思ったので、Chat GPTに質問。
丁寧に以下の回答をくれる。
 
傲慢な人と自信のある人の違いは、その態度や行動が他者にどのように影響するかに現れます。以下に違いと見分け方、そして自信のある人になる方法を解説します。
 
1. 傲慢な人と自信のある人の違い
傲慢な人
自己中心的:自分の価値や意見を他者よりも上に置きがちで、他者の意見を軽視することが多い。
防御的:自分の間違いや弱点を認めるのを恐れ、他者を攻撃したり正当化したりする傾向がある。
競争心が強い:他人を下げて自分を高く見せようとすることがある。
外見的な態度:しばしば威圧的で、他者に「自分は優れている」という印象を押しつける。
 
自信のある人
自己肯定感が高い:自分の価値を認識しつつも、それを他者に押しつけたりはしない。
柔軟性:自分の間違いや限界を認め、そこから学ぼうとする姿勢がある。
協力的:他人の成功を祝福し、支え合うことを大切にする。
穏やかな態度:自己主張はするが、他者を見下したり威圧したりしない。
 
2. 見分け方
他者への態度を観察
傲慢な人は他者の価値を低く見積もるような発言や行動をすることがあります。一方、自信のある人は、他者の意見を尊重しながらも自分の意見を述べます。
間違いにどう対応するか
傲慢な人は間違いを否定したり責任転嫁しますが、自信のある人はミスを認め、そこから学ぼうとします。
成功の捉え方
傲慢な人は自分の成功を誇張して見せたり、他者と比較する傾向があります。自信のある人は成功を自然体で受け止め、他者と競争するよりも自己成長を重視します。
 
3. 傲慢な人ではなく自信のある人になる方法
1. 自己認識を深める
自分の強みと弱みを冷静に見つめ、弱みを恥じるのではなく、改善点として受け入れる。
2. 他者を尊重する
他人の意見や感情に耳を傾ける習慣を持つ。他者の成功を純粋に喜び、支援する姿勢を意識する。
3. 謙虚さを育む
成功したときも、それを当然の結果とせず、自分を支えてくれた人々への感謝を忘れない。
4. 学び続ける姿勢を持つ
成長を目指して新しい知識やスキルを習得し続ける。自分の限界を認識し、それを乗り越えるための努力を楽しむ。
5. 内面の満足感を得る
他者との比較をやめ、自分が達成した小さな成果や努力を誇りに思うことで、内面的な満足感を得る。
6. 感謝の習慣を持つ
毎日、感謝できることを考える。感謝の気持ちは自然に謙虚さと自信を育てます。
 
結論
自信は内側から湧き出るもので、傲慢さは他人への優越感を利用して外見を取り繕うものです。
他者への敬意と自己成長への真摯な態度を持つことで、自然に自信のある人として見られるようになります。
「他者に安心感を与えられる自信」を目指してみてください。
 
傲慢には、よく見せようとする要素があり、ある種他者から承認されたいう強い願望の現れでもありそうだ。
自分で自分を認められたり、自分が認めて欲しい身近な人には十分に認められている人は、傲慢になる必要がなさそうである。
 
そう考えると、傲慢な人は、自信がない人なのだと思う。
この小説で出てきた傲慢な人たちも、本当の意味で自分に自信がある人はいなかったように思う。
 
謙虚さを忘れず、傲慢でないか自分を顧みることを忘れず、相手を尊重できる人間になりたいものだ。