高級嗜好でないコスパの重視の僕が、ミシュランの星付きレストランで食事をして思ったこと

 
食事に関しては、僕とパートナーは安くて美味しいものを是とするコスパ重視の考え方を持っている。
 
そんなふたりが、ミシュランで星のついてる高級レストランで食事をしようと思い至ったのは、Netflixでやっている木村拓哉主演の「グランメゾン東京」というミシュラン三つ星獲得を目指すシェフのドラマにを見たからだ。
これまで全くといっていいほど高級嗜好ではなかったのだが、その世界に興味を持ち、「じゃぁミシュランの星付きレストランで食事をしてみよう」ということになり、なかなか機会がないことなので、まとめてみる。
 

食事をしたレストラン

 
訪ねたお店は、クロアチアのドゥブロヴニクにある地中海料理のお店、Restaurant 360 というクロアチア料理、地中海料理を提供するお店にした。
 
パートナーが、肉より魚が好きで、ちょうどアドリア海沿いを自転車で走っているタイミングだったので、魚料理を楽しむにはちょうどよいと思ったからだ。
 
 
僕らは、それぞれ別々のテイスティングメニューを注文した。
パートナーはシェフ Marijo による手作りの特製料理をセレクションしたコース「SUMMER 2024」、僕はドゥブロヴニクのルネッサンスの伝統料理を現代風にアレンジしたコース「REPUBLIKA」を注文した。
めったにない機会だったので、料理は全てシェアした。

注文した料理

両コース共通のスターター

パイ生地に玉ねぎやら添えたもの
 
クロワッサンの表面の部分だけを抽出したようなとても薄いパイ生地のサクサク感と、玉ねぎのシャキシャキ感がいい塩梅。
 
 
ツナサラダ
 
知っているツナサラダではなく、ツナサラダと聞いて食べて、ようやく確かにツナサラダの味もする、という感じ。
 
 
パンと3種のバターと2種のオリーブオイル
 
パンはふわふわ、バターは野菜を練り込んだものと、謎の赤いバター、純粋バター。
オリーブオイルは、まろやかなものと、少しスパイシー目なもの。
1つ目のパン、バターは美味しかったが、2つ目のパンバターにもオリーブオイルにもマッチせず、なぜこのパン!?となった。
 
注文したワイン
ビレ・グルク・デフォラ(左)
「SUMMER 2024」のコースにマッチする低価格帯の白ワインとしてオススメされた、クロアチアのコンチュラ島で作られた、白ワイン。Grkという非常に希少な品種のぶどうを使って作られたもの。スッキリしていてとても飲みやすかった。
 
グルギッチ・ポシップ(右)
「REPUBLIKA」のコースにマッチする低価格帯の白ワインとしてオススメされた、クロアチアのコンチュラ島で作られた、フルボディのドライな味わいの白ワイン。
テラン(フランコビッチ)(左)
「SUMMER 2024」のコースにマッチする低価格帯の赤ワインとしてオススメされた、ブルーベリーやラズベリーの香りを持つ辛口の赤ワイン。
とても飲みやすく、たくさん美味しく飲めるワインだった。
 
ズラタン クルリイェナク(右)
「REPUBLIKA」のコースにマッチする低価格帯の赤ワインとしてオススメされた、クロアチアのダルマチア地方で作られたドライでスパイシーな味わいの赤ワイン。
 

SUMMER 2024

ホタテ貝 タルタル / 豆腐ムース / そば粉ゼリー / 玉ねぎとライムのドレッシング
 
タルタルとムース、ゼリーに加えて、玉ねぎのシャキシャキの食感の違いを楽しめた一品。
ドレッシングにはライムが効いて、全体を超さっぱりにしてくれて、とても美味しかった。
 
 
サバ 白かぶ / じゃがいも味噌マヨネーズ / かつおドレッシング
 
サバ自体は取り立てて、素晴らしいということはなかったが、まわりのマヨネーズ、かつおドレッシングなど、何につけて食べるかでサバを全く違う味わいで食べられるのがおもしろかった。
特に、ジュレになっているカツオのドレッシングが好みだった。
 
ターボット フライパン焼き / セロリクリーム / グラッセオニオン / ブールブラン
 
見た目こそユニークなものの、味や食感などは、先の2品には及ばないという感じ。
魚の周りの泡の部分に味がわりとしっかりついていた。
とはいえ、味は普通に美味しかった。
 
鳩 オニオンクリーム / パースニップ&洋梨 / クルミ / ケッパーソース
 
鳩を食べたのが初めてで、焼鳥の肝のような味がした。多分そういう部位だったんだと思われる。
お酒が進む味ではあったが、今後はお肉を食べるとなって、あえて鳩を選ぶことはなさそう。
 
コーヒー コーヒービスケット / キャラメルジェル / バニラとチョコレートクリーム / コーヒーアイスクリーム
 
コーヒー味のデザート。
特別なことはあまりなく、他でも食べられそうな感じの味わいだった。美味しいは美味しいのだが。

REPUBLIKA

マロ・モア 牡蠣 / XOソース / フェンネルクリーム / ブールブラン / クリスピーキャビア
 
牡蠣料理というと、生牡蠣、牡蠣鍋、牡蠣フライくらいしか食べたことがないが、「こんな料理の仕方あるの?」と驚いた一品。
とてもクリーミーなソースと、牡蠣の濃厚な味わいが見事に調和して、そこにキャビアと、謎のコリコリした食材がいいアクセントになっており、とても美味しかった。
 
ペシュカフォンド 揚げたての詰め物入りイカ / 柑橘類のゼリー / スモークソース
 
茹でられたイカの部分は、これまでの人生で食べたイカの中でもっともすんなりと、何の引っかかりもなく噛み切れて、イカの風味や味わいに集中することができた。
一方で、揚げられた部分はサクサクとしていた。
スモークソースは濃厚で、よくイカとマッチしていた。そこに、柑橘類のゼリーが、料理パッと爽やかさを提供する、とてもユニークな味わいでとても美味しかった。
 
ポパラ2.0 スズキ / 魚のスープ / ポテト・オ・ヴァン / ムール貝の詰め物
 
スズキの身の部分は十分に油がのっていてジューシーで、皮の部分はとってもパリパリに仕上がっていて、そのコントラストがおもしろかった。
魚部分はすごく特別という訳ではなかったが、魚のスープはしっかりと出汁が効いてて、魚や貝にとてもマッチしていた。
 
コマルダ ラム肉のコンフィ / そら豆 / 羊のヨーグルト / ラム肉のソース
 
これまでの3品に比べて、特に感動や驚きが少ない一品だった。
肉脂身をそら豆も含む野菜部分がさっぱりさせてくれるのはよかった。
 
マンタラ キャロブビスケット / ビターオレンジムース / マンタラアイスクリーム
 
くるみを使っているデザートだったので、ほんの少しだけ頂いたが、マンタラのアイスクリームはシナモンがよく効いていて、ほのかにくるみが香り、とても美味しかった。
ムースの部分は少し甘めで、最初は美味しいく食べられたが、後半は少し食べるペースが落ちた。

両コース共通のデザート

プレデザート
記念日
 
お会計は、コース料理が186EUR/人、ワインが約16EUR/grassで、合計445EURだった。
 

「美味しい」というより「interesting」

大前提、美味しいか美味しくないかといえば、もちろん美味しかった。
ただ、相対的に料理の美味しさよりも、そこでの食事体験の興味深さの方が勝った。
 
美味しさだけで言えば、フヴァル島で購入した19EUR/Lのオリーブオイル農家から購入したものの方が、ここで出されたオリーブオイルより美味しかったと感じたし、食事に関しても自転車旅中に食べたピザのほうが美味しかったと感じた。
 
食事体験としては、なかなか得がたい体験で、とても興味深く楽しめた。
 
 
まずは、料理の盛り付け。
細部にまでこだわった手抜きのない盛り付けで、種類としては芸術鑑賞の体験に近いおもしろさがあった。そして、この盛り付けがより食べる人の集中力を料理に向けることを手伝い、マインドフル食事をするのを促進するように感じた。
 
次に、料理の食感。
盛り付けを全て崩さないように丁寧に一口大に分けて、口に入れると、3,4種類の異なる食感が、いいバランスに合わさって、口内を楽しませてくれる。
 
そして、この料理の盛り付けや食感に、作り手の明確な意図を強く感じられた。
今まで、食事の際には、作り手が対面しない限り、その作り手の意図をここまで強く感じたことはなかった。
 
そして、店内の雰囲気。
料理の内容が伴わない雰囲気だけのお店は好きではないが、内容がある料理をいい雰囲気のところで提供されるのは、とても気分がいいものだった。
 
料理の盛り付けが料理への集中度を高めるのを促進するなら、店内の雰囲気はその料理体験をじっくり味わうの促進させてくれるように感じた。
 
 

その他、思ったこと

 
ミシュランの星付きレストランでの食事とは直接関係ないが、パートナーと同じ体験して、同じことに興味を持つことって素晴らしいなと思った。
 
残念ながら、今回は高級料理を食べ歩くことがパートナーとふたりの趣味になりそうにはなかったが、パートナーと同じ体験をすることで、同じことに興味を持つ可能性が上がり、結果として共通の趣味ができる確率を高めてくれるように思う。
 
共通の趣味があれば、その趣味を通じてパートナーとより長い期間楽しく一緒に過ごすことが容易になると思う。
 
 

最後に

 
値段が値段だけにコスパは低いが、食事というよりはひとつの体験というカテゴリで、特別な日にこういった体験をするのも悪くないなと思った。頻度はお財布と相談ですね。