愛するということ(エーリッヒフロム)を読んで

 

愛することを極めるために非常にためになる参考書

 
愛するということに関して、非常に同意ができる部分が多かった。
そして、自分がこれまで感覚的には同様のものを持っていたが、それをうまく言語化できていなかったところを言語化してくれた本だった。
 
この本を読んで思い出されたことについては、家事分担の実施記録表運用に関して思うこと で書いた。
 
今後も、「パートナーシップを極める」過程において、何度も参考にすることになりそうなので、本の内容をまとめておく。

本の要約

愛とは

 
「愛」とは
与えること
 
具体的には
自分の喜び、興味、理解、知識、ユーモア、悲しみなど、自分のなかに息づいているもののあらゆる表現を与える
こと。
 
愛することによって、
自分の生命を与えることによって、人は他人を豊かにし、自分自身の生命感を高めることによって、他人の生命感を高める。
ことができ、
 
この上ない喜び
を得ることができる。
 
 

よくある誤解

 
愛の問題を、 愛する という問題、愛する能力の問題としてではなく、 愛される という問題として捉えてている。
 
愛の問題とはすなわち 対象 の問題であって 能力 の問題ではない、という思いこみ
 
 

愛の構成要素

 
4つあり、互いに依存関係にある
この一連の態度は、「成熟した人間」にみられるものである。
 
  • 配慮
生命と成長を積極的に気にかけることである。
 
  • 責任
他の人間が、表に出すにせよ出さないにせよ、何かを求めてきたときの、私の対応
 
「責任」の性質として、
完全に自発的な行為
である。
 
  • 尊重
人間のありのままの姿をみて、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のこと
また
他人がその人らしく成長発展してゆくように気づかうこと
 
「尊重」が欠けると、「責任」が
容易に支配や所有へと堕落してしまう。
 
その人を知ること
 
「知」は、「尊重」の必要条件である。
知によって導かれなければ、配慮も責任も当てずっぽうに終わってしまう。
 
完全に知るための唯一の方法は
愛の 行為 である。
ただし、愛の行為によって完全に知るためには、まず思考によって知る、すなわち心理学的に知ることが必要
 
「成熟した人間」
自分の力を生産的に発達させる人、自分でそのために働いたもの以外は欲しがらない人、全知全能というナルシシズム的な夢を捨てた人、純粋に生産的に活動からのみ得られる内的な力に裏打ちされた謙虚さを身につけた人のこと
 
 

愛の技術の修練のために必要な能力と獲得方法

 
  • 規律
毎日一定の時間練習するといった、特定の技術の習練における規律だけではなく、生活全般における規律も含まれる。
 
<獲得方法>
毎朝決まった時間に起き、瞑想するとか、読書するとか、音楽を聴くとか、散歩するといった活動に一定の時間を割き、推理小説を読むとか映画を観るといった逃避的な活動には最低限しかふけらず、暴飲暴食はしない――といったことは誰にでもわかる基本的なルール
 
ポイントは、
規律が自分自身の意志の表現となり、楽しいと感じられ、ある種の行動にすこしずつ慣れてゆき、ついにはそれをやめると物足りなく感じられるようになること
 
  • 集中
いまここで、全身で現在を生きることである。いま何かをやっているあいだは、次にやることは考えない。
 
<獲得方法>
    集中力の習得においていちばん重要なステップは、本も読まず、ラジオも聞かず、タバコも吸わず、酒も飲まずに、一人でじっとしていられるようになる
     
    具体的には
    (だらしなくすわるのでもなく、体をこわばらせるのでもなく)リラックスして椅子にすわり、眼を閉じ、眼の前に白いスクリーンを見るようにし、じゃましてくる映像や想念をすべて追い払って、自然に呼吸をする。呼吸について考えるのでもなく、むりに呼吸を整えるのでもなく、ただ自然に呼吸をする。そうすることによって、呼吸が感じられるようにする。そこからさらに、「私」を感じとれるように努力する。私の力の中心であり、私の世界の創造者である私自身を感じとるのだ。すくなくとも、こうした練習を毎朝二十分ずつ(できればもっと長く)、そして毎晩寝る前に続ける
     
      くだらない会話、つまり純粋な会話でない会話をできるだけ避けること
       
      具体的には、
      自分たちの話していることを二人がともに経験していて、それを抽象化しないで話せば、意味がある。反対に、政治や宗教について論じる場合でも、くだらない会話になることがある。二人がともに常套句ばかり使って話し、その言葉に心がこもっていない場合だ。
       
        悪い仲間を避ける
         
        具体的には
        悪意のある破壊的な人
        くだらないことばかり話すような人間
         
          相手の話を聞く
           
          よくあるケースとして
          相手の話をろくに聞かずに、聞くふりをしては、助言すらあたえる。相手の話を真剣に受け止めず、したがって真剣に答えない。
           
            自分に対して、敏感になる
            変化に気づくことと、手近にある理屈にとびついてそれを安易に合理化しないことである。それに加えて、内なる声に耳をかたむけることだ。
             
            • 忍耐
            性急に結果を求める人は絶対に技術を身につけることはできない。
             
            • 関心
            技術の習得に 最高の関心 を抱くことも、技術を身につけるための必要条件
             
             

            愛の能力にとって特別重要性を持つ特質

             
            • 謙虚さ
            理性の基礎となる感情面の姿勢
             
            「理性」とは
            客観的に考える能力
             
            • 理にかなった信念
            自分自身の思考や感情の経験にもとづいた確信である。
             
            「理にかなった信念」は
            合理的思考の重要な構成要素である。
            また
            他人にたいして約束ができるための必須条件である。
            また
            どんな友情や愛にも欠かせない特質である。他人を「信じる」ということは、その人の根本的な態度や人格の核心部分や愛が、信頼に値し、変化しないものだと確信することである。
             
            「理にかなった信念」の根底にあるのは
            生産性である。信念にしたがって生きるということは、生産的に生きることなのだ。
             
            愛とは信念の行為であり、わずかな信念しかもっていない人は、わずかしか愛することができない。
             
            • 勇気
            あえて危険をおかす能力であり、苦痛や失望をも受け入れる覚悟である。
             
            また
            信念をもつには 勇気 がいる。
             
             

            特質を修練する方法とその条件

             
            「信念」と「勇気」修練方法
            日常生活のごく 些細 なことから始まる。第一歩は、自分がいつどんなところで信念を失うか、どんなときにずるく立ち回るかを調べ、それをどんな口実によって正当化しているかをくわしく調べることだ。
             
            条件
            • 退屈したり退屈させたりしないこと
            人を愛するための大きな条件の一つなのである。思考においても感情においても能動的になり、一日中目と耳を駆使すること、そして、なんでも受け取ってはためこむとか、たんい時間を浪費するといった、内的な怠慢を避けること
             
             
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